素直にあいせてるかな
        
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世界の天心。
空を見るのが好きだった。

空は僕の心を映したみたいにときどき機嫌が悪くなる。


団長の表情はコロコロと変わる。

熱い顔。
物憂げな顔。
晴やかな顔。

空のようだ。
次第に僕は練習のときに彼女の表情を窺い見ていた。

恋愛感情ではなかった。
なにか羨ましかったのだ。
なにが羨ましかったのだろう。

あのころの僕も今と変わらず変だった。
変という形容をただ纏っていたかった。
それで救われるものがあった。

父の暴力。
母の愚痴。
弟の非行。

次第と自分の感情が出せなくなった。
感化される自分が
同化していく自分が
一番疎ましく思えたのだ。

行き場のない感情は逃げ場を失って
僕の頬を伝うことでしか消化できなかった。
嗚咽さえも許されない、そんな涙。

だから、
世話のかからない大人しい優等生を演じ続けるのに
限界が来ていた。

吐き気と頭痛がして、
用量用法も守らずに過剰な風邪薬を飲んで学校に通っていた。
小さな小さなカラダの拒絶さえも薬で抑え込んだ。

僕の世界はあまりにも小さくて、暗かった。
そんな世界が見つけられた。

きっかけが思い出せないのだけど、
おそらく、僕が薬の話をしたのだろう。

彼女はこういった。

「じゃあ、わたしが朔ちゃんになったげる」

片山恭一の「世界の中心で愛を叫ぶ」が流行っていたからだろう。
朔太郎と白血病になる亜紀の恋愛小説。

彼女は僕を救いたかったのだろうか。
こんな僕を。

「役柄が逆やんか」

僕はいった。
思わず、笑ってしまう。

「逆セカチューやね」

彼女のアルトが僕に響いた。

続く
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